各合併症について詳しく説明していきます。
1.DLK(層間炎症)
2.近視化
3.角膜拡張症(角膜突出)
4.グレア、ハロー、コントラスト感度低下(光の滲みなど)
5.ヘイズ(角膜の濁り)
6.ドライアイ
7.その他
1.DLK(層間炎症)
LASIKの合併症で最も多いものがDLKという炎症です。
これは、まだ、はっきりした原因はわかっていませんが、アレルギー反応あるいは免疫反応ではないかといわれています。術後数日から1週間の間に自覚症状と しては白っぽくみえる。ということがあります。通常、ステロイドの点眼の回数を増やすことで治りますが、稀に、炎症が集中し、視力が低下することがありま す。この場合、すぐにクリニックに連絡して診察をお受けいただきフラップ下洗浄といって、フラップをおこしてステロイドの薬剤で洗いますと、消失します。 診察を受けずに放置しておくと、戻るまでに3ヶ月から6ヶ月かかることがありますので、必ず具合が悪い場合は診察をお受けください。
2.近視化
5年あるいは10年という経過で若干の近視が生じる事があります。早めに見せていただければ、点眼だけでもとにもどる場合もあります。また、角膜の厚みが十分残っていれば再手術は簡単にできます。
3.角膜拡張症(角膜突出)
角膜厚がもともと非常に薄い、あるいは円錐角膜の要因を持っていた人で、稀に、円錐角膜のようになる人がいます。これは、術前の適応検査が十分で ないこと が原因ですので、眼科専門医できちんと調べてもらっていれば、可能性は、まずありません。 もし術後円錐角膜が疑われたら、再手術は避けて、コンタクトレンズの装用になりますし、視力がでにくい場合、角膜内リングの挿入、あるいは有水晶体眼内レ ンズを入れる場合もあります。再度繰り返しますが、当院では、適応検査、術前検査で、あらかじめこのような患者様には手術は、お勧めいたしません。
4.グレア、ハロー、コントラスト感度低下(光の滲みなど)
LASIKやPRKで高度の近視や乱視を削ると、眼鏡やコントクトレンズで矯正できない不正な収差が生じます。不正な収差が増えると、暗いところ の見え方が悪くなったり、光の滲みが生じます。また、白黒のコントラストが薄いものの見え方が悪くなることもあります。それらは1ヶ月から6ヶ月で感じな くなりますが、やはり100μ以上削るのはできれば、避けた方が良いとおもいます。ですから、当院でも高度近視の人には角膜の厚みに余裕があってもフェイ キックIOL(有水晶体眼名レンズ)をお勧めしています。
5.ヘイズ(角膜の濁り)
これは、PRK,Epi-PRKのみの合併症ですが、削る量が多い場合に、角膜が濁ることがあります。角膜が濁ると視力が落ちることがあります。 これは、角膜に吸収される紫外線によって引き起こされるものですが、これを予防するには、表面の削り方をスムースにしたり、お薬洗浄したり、冷やしたりし ます。術後の外出時にはある程度の期間、紫外線カットのサングラスをかけてもらい、ビタミンCを多めに摂取してもらいます。また、医師の指示のもと、点眼 は必ずする必要があります。これさえ守っていただければ、まず、問題ありません。
6.ドライアイ
LASIKは一部の知覚神経を切断するため、痛みがありませんが、同時に涙の量が減り、ドライアイになります。症状がひどい場合には栓をすると、 流れ出る量が減るためにドライアイが減少します。また、ドライアイ用の点眼も効果があります。神経の回復は1ヶ月から6ヶ月で年齢と個人差があります。
7.その他
非常に稀ではありますが、マイクロケラトームの吸引が不十分で、フラップという蓋がうまくできないことがあります。不完全なフラップの場合は、手 術を中止して、3ヵ月後にPRKで再手術をします。逆にプラップが切り離されてしまった場合は、そのまま手術は続行できます。いずれも再手術で視力は良好 になります。これも、角膜の形を十分把握していればおこりませんが、角膜のカーブが極端に平らであったり、きつすぎたりすると危険性が高くなります。あら かじめ、危険性がある場合には、LASIKでなくPRKあるいはフェイキックIOLに変更することが望ましいと思います。